メンテナンス

 メンテナンスは大事です.世の中にはいろいろな人間,組織,機械,物品がありますが,それらを末永く使おうと思うと,メンテナンスは欠かせません.メンテナンスは日本語に直すと,「維持」という意味になります.

 

 着ぐるみにおいても,メンテナンスという言葉が用いられますが,主に着た後に面の中を清掃したり(まあ基本的には拭くだけですが),髪を梳かしたりする行為のことを指します.着ぐるみさんの髪の毛は基本的には人造繊維ですからね.どうしても静電気などが発生しぼさぼさになるのです.着ぐる寝*1 なんかした日にはもう終わりです.ロングだと髪が絡まって痛むのが早いので,このメンテナンスの作業は欠かせないものとされます.いよいよ駄目だとなったら,髪の毛を全部ひっぺがし再結髪をします.

 

 着ぐるみ以外にもメンテナンスが欠かせないものがあります.それは,研究室の機械です.弊研究室には,さまざまな測定装置があるのですが,お金がないので新品は買えません.よって中古のものばかりが導入されます.精密な測定をしたいのに,どこの馬の骨が使ったのか分からない装置を買ってくるのです.新品で買ってくると,ちょっとした軽自動車なら買えそうな値段なのに,なんとスマホくらいの値段で買ってくるのです.おいおい,個人が買う着ぐるみの面のほうが高いんですけど!? そんな出自の妖しい装置で精密な測定をしようだなんて,中古のコンドームを拾ってきてセックスをしようとするものです.「大丈夫,洗ったら使えるから!」と言わんばかりに指導教員は拾ってくるのですが,いやいやいや…….

 

 そんなわけでだいたい測定した結果,出るものはあやしげなものばかりで,再現性がなかったり,ベースラインが安定しなかったり,全く分離できていなかったり,謎の白い液体が出てきたり,負の質量を持つものが出てきたり,データが無限大に発散したり,と散々なものばかりです.ですが,それらの不都合を学生がいくら主張しても,指導教員には馬の耳に念仏で,いっこうに確認しようとしたり,修理しようとしたり,業者を呼ぼうとしたりしません.あまりにひどいので,学生が自主的に業者に問い合わせて,いろいろ親身になって相談に乗ってくれているのに,それを知った指導教員が「あいつらの言うことは,しょせん文系やから信用したらあかん」などと言ってくる始末.結果的に学生は,全く信用できない指導教員のもので,全く信用できない装置で出てきた,全く信用できない結果を,全く信用できないロジックで解釈し,逃げるように卒業していくのです.修士号はもらえるんで別にそれでいいですが.

 

 誰か,指導教員をメンテナンスしろよ.お……どこかの,店長のメンテナンスが必要なゲーセンみたいだな?

*1:着ぐるみを着たまま布団などで寝る行為.マニアックな行為とされるが,実践するものは多い.着ぐる寝で添い寝をするという勇者も後が絶たないが,夜中に苦しくなって面をとって解除してしまうことがある.結果的に朝起きたらおっさんが添い寝していることになる.