スクール水着

 ときめくタイトルですね。今日はスクール水着の話です。

 スクール水着は、主に女子学生が学校の水泳の授業で着用するための水着です。ビキニのように露出があるわけでなく、色もせいぜい紺一色か白のラインの入った彩度の低い色合いで、レースをあしらったデザインがあるわけでなく、はっきり言って無骨です。女の子にしてみれば「可愛くない」とか「ダサい」とか言われてしまうのでしょう。

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 確かに華々しさはなく、地味です。ですが、この全く飾り気のないデザインや、媚びない色合いは、日本古来から伝わる詫びや寂びのようなものを感じさせます。全身を覆うので、かえって身体のラインを強調しています。腰のラインやお尻なんかも最高ですね。胸、お腹、背中、腰、股、お尻、変化に富んでいるはずの体の部位をモノトーンで塗りつぶしてしまいます。隠すのです。隠すことで強調するのです。実に奥ゆかしいではありませんか。色は紺。肌の色とのコントラストが美しいです。無駄を一切排除して、素材を引き立たせることに徹する。加えて、女子が学校という抑圧・抑制された場で着るというコンテキストがあるので、一種の支配性を想起させることになり、これもまた欲情を駆り立てます。

 

 ただ、何をとち狂ったのか、これを成人男性が着てしまいます。笹松しいたけとかいう「スク水の淵から」なんていうブログを書いている人がいて、彼はスクール水着に対する情熱が人一倍高いとされていますが、これを空気嫁などに着せています。いやいや、そこは自分で着ろよ。スクール水着を着てみてください。身体を伸縮性のある化学繊維にぴったりと覆われるという経験は、男はそれほどすることがないので、新鮮です。実に甘美です。肩紐、お腹、腰、股、お尻がそれぞれの部位に応じた張力で身体を圧迫するのです。それは決して苦しいものや痛いものではありません。最適化された圧力で自分の身体を覆ってくれます。自分の身体と全く同じ形になった布が自分を覆っているのです。通常自分と外界との境界は皮膚なのですが、スク水を着たときはそうではありません。水着が境界になるのです。そのまま身体を撫でてください。一枚のぴったりとした布で間接的に覚える感触は病み付きになることうけあいです。そしてそのままシャワーを浴びるのです*1。着ぐるみをやっている男性はほとんどスクール水着を持っていますが、水に濡らすことは少ないと思うのでこれはやってみる価値があると思います。スクール水着の、化学繊維でできた布が水を吸い、色が変わり、乾燥した状態での質感とはまた異なる様相を呈するのは一度経験してみないと分かりません。水着ですからね。水に濡らすのです。

 

 このように、今でこそスクール水着の魅力を滔々と語ることができるのですが、やはり最初に買ったときは、人間としての道を踏み外しているという背徳感で胸がいっぱいでした。女の子が学校で着る水着を、男が着る。そのための水着を買う。初めての人なら、変態行為以外の何者でもないでしょう。2 ちゃんねるですら、スク水を買う男はやばいとされています。しかし、冒頭に貼ったように今は Amazon で簡単に買えます。値段もわずか3000円程度です。居酒屋に一回行くよりも安いでしょう。軽率にスクール水着を買える時代となりました。ポチッとな、でスク水一枚が自宅に着弾する時代です。いいですか、あなたたちは昭和に生きているのではないです。平成のそれも2010年代に生きているのです。我々生まれたときにはバブルが弾けて、生まれてこの方好景気というものを見たことがない世代です。ロストジェネレーションです。我々は年金もふんだくれるだけふんだくられて貰えるかどうか分からない世代です。割を食う世代なのです。じゃあ、何をすればいいのか。スクール水着を買うのです。それは平成世代の特権です。今の年寄りどもは、年金こそもらえますが、Amazon もなくスクール水着が欲しい、着てみたいと思っても、盗みを働くほか手に入れる方法というのはなかったと思われます。年金がなくてもスクール水着はある、それが我々の世代です。いいですか、名前と住所と Amazon ギフト券かクレカの番号を入力するだけです。誰でも簡単にできます。着ぐるみをやっている男性の 8 割はスク水を持っています。本当に当たり前のように。だから、着ぐるみをやっている男性はスク水ごときで騒ぎません。さくっと着れて便利なのに超興奮する、程度の認識しかありません。今やスクール水着はインフラとなりました。「うちの家、水道出るんだぜーーーwwww」とか「電気通っているとかヤバ過ぎるwwww」とか言わないでしょ。早くあなたの家に水道を通してください、電気を通してください、ガスを通してください、軽率にスクール水着を買ってください。

*1:そのまま市民プールなどに行かないでください。自宅のシャワーを使ってください。