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グリーティング

 今日も会社の労働がしんどかったので、湯船にお湯を貯めました。いやあ、お風呂、いいですね。寮の連中は共用のシャワーしかないみたいです。ちょっとした監獄ですよね。
 というわけで、例によって、お風呂からブログを書いています(このパラグラフを執筆時)。労働辛い社会人辛いと言っても、なんだかんだで文化的な生活ができてるんじゃないかと思います。ところで、最近、Twitter のアカウントが消されてしまった*1 どざいさん *2 が、Twitter のアカウントを消された腹いせにか、怒濤の勢いでブログを更新しています。一方、僕がブログを始めたきっかけになった笹松氏*3 もブログを絶賛更新中です。どちらのブログも、攻撃的な口調で実は自虐を重ねるスタイル、軽妙な語り口で淡々と狂気に溢れたことを書き連ねるそのスタイルと、独自のカラーを持ちながら、さながら語彙の動物園のごとく自由闊達に述べられており、我々を魅了させてくれます。僕も、負けじとブログを書いてみるのですが、僕は彼らほど狂気に満ちていないので、まともな文章しか書けません。僕の地獄への道は、ほぼ労働で舗装されていて、決して善意で舗装されていて、中央分離帯には線路が敷いてあって、5 分に 1 本千里中央行きの電車が来るわけではないのです。

 

 閑話休題。地獄への道が労働で舗装されているのなら、天国への道は何で舗装されているかというと、それはもう着ぐるみでしょう。決して労働の筋肉痛を癒やすサロンパスではありません。当然、中央分離帯には線路が敷いてあって、今度は 5 分に 1 本なかもず行きの電車が来るというわけです。では、とりわけ着ぐるみの何が一番救いになるのかというと、そう、グリーティングなのです。おそらく、僕は着ぐるみ界隈でも一二を争うくらいグリーティング好きです。イベントで一番重視することはロケーションよりもグリーティングです。グリーティングとは、着ぐるみ界隈でしばしば使われるテクニカルタームで(もともとはディズニーランドの用語?)、着ぐるみとは関係のない通りかかりの一般人と触れ合ったり、写真を撮ってもらったりすることです。
 グリーティングの魅力を語るだけでちょっとした小論文さえ書けそうな気もしますが、尺の都合上、簡単に二点にまとめます。

 

 一つは承認欲求の充足感です。
 会社では付け添えのパセリ未満の存在価値しかない僕が、着ぐるみを着ることで見ず知らずよ老若男女に「可愛い」って言ってもらえるわけです。承認されるわけです。
 ただ、認められてるんは、自分ではなく自分の"ガワ"なんじゃないかという懸念はあります。なんせ顔が隠れていますからね。ごもっともな懸念です。もっとも、カルタちゃん*4の場合は自分で作ったので、面が可愛いと言われるだけで、十分嬉しい評価なのですが。
 では、人が着ぐるみに入ったときに、中の人が評価される要素というのは、つまるところ、体格と操演だけなのです。特に、自分は操演に対して評価されると、舞い上がってしまいます。グリーティングでよくある光景なのですが、僕が着ぐるみ(特に椛)に入って誰か一般人に手を振って、相手が反応してくれたときに、ぴょんぴょんしてみたり、愛らしい(と思う)仕草をしてみたりして、精いっぱい相手にアピールします。そして、相手がそのことに対して喜んでくれたり、笑ってくれたり、相手も僕の仕草やポーズを真似してくれたり、「可愛いね」って声をかけてくれたりすると、もう最高です。アドレナリンだかエンドルフィンだか知りませんが、中の人の脳内麻薬はだばだばです。
 椛は当然ずっと笑顔ですが(着ぐるみだからね)、中の人もすごく楽しんでいます。その楽しんでいる様子が外の人にも伝わっているといいなあと思っています。少なくともよっきーさんには伝わっているみたいです。「本当に生き生きしていて、心底楽しそう」と。ありがとうございます。僕は、褒められて伸びるタイプなんです。一般人に喜んでもらえ、マスターさんであるよっきーさん*5 にもこのように言ってもらえることで、僕は多分"伸びた"んだと思います。もっと可愛くなりたい、もっといろんな人に喜んでもらいたいという欲求が僕をここまで突き動かしました。いやはや僕は素晴らしい師匠を持ったようです。
 ちなみに、喜んでもらえて一番ドキドキするのは、同年代の女性だったりします。特に女性は妖狐×僕SSを知ってる場合があります。以前、梅小路公園のロケ*6 で、大学生のサークルかと思われる十人ほどの男女のグループのうち、一人の女性が「カルタちゃんや! すごいめっちゃ好きやねん! 一緒に写真撮っていい?!」と声をかけてくれたのは、本当に嬉しかったです。グループの他の人にシャッターを切ってもらい、ツーショットを撮ってもらいました。もっとも、女性に可愛がってもらうことだけが嬉しいのではありません。同年代の男性にも、「うお、なんか動いたら結構可愛いねんけど!」と驚かれたり、男子数人のグループだと仲間の"ノリ"で一緒に写真を撮ってもらったりすることも。そのときは、腕を組んで結構密着しちゃいます。「俺今めっちゃモテ期かもしれん。てか、胸当たってんねんけどw」と言われたときは、ちょっと興奮しましたw 子どもも大好きです。子どもは素直に喜んでくれるので、こちらも楽しいです。だいたいおずおずと近づいてきて無表情(でも興味津々)みたいな反応が多いですけどね。ただ、いきなり抱きつかれたこともあります。満面の笑みでした。いいですね。愛に溢れていて。なんて優しい世界なんでしょう。おっちゃんやおばちゃんももちろん嬉しいです。おばちゃんなんかは結構、可愛いって言ってくれますね。投げキスしてくれる人もいます。
 承認欲求とは言いましたが、やっぱり純粋に自分の着ぐるみを見て、みんなが笑顔になってくれるのは、素直に嬉しいし、楽しいですし、やり甲斐も感じます。やり甲斐というか、もはや生き甲斐レベルですね。No Greeting, No Life. グリーティングがなければ、今頃僕は近鉄電車の線路の中でしょう。意識高い系の人にdisられますね……。

 

 で、そんなことを言いつつ、もう一つの魅力は、背徳感でしょう。だって、男が布で全身を覆って、女の子の衣服を身に着けて、女の子のお面を被って、街中に出ちゃうんですよ。変態じゃないですか。でも、着ぐるみの凄いところは、それで人を楽しませることができること。露出狂の人とか女性ものの下着を頭に被る人(変態仮面)が街中に出ても、通報されて終わりじゃないですか。同じ変態的行為でも雲泥の差です。もっとも、着ぐるみでもよっぽど面の出来が悪い、動きが挙動不審(おっさん)、サポがいない、場所にそぐわない、など問題があれば通報されますが*7
 性別を偽るというのは、控えめに言って快感です。僕は、「男やろ」って言われたのは一、二回で、「女の子……やんなあ?」って言われた回数の方が多いです(「女の子?」って聞かれたら全力で嘘をつく)。身長がそれほど高くないというのもありますし、あとできるだけ男と見抜かせない仕草を心がけようとは思っています。前述のモテ期が到来した男性、椛の中の人が貴方と同じ性別であるということ、気づいてなかったのかなあ。密着しているのに、気付いてないっての、中の人はホント楽しくて仕方ないです。その胸、シリコンですよ。
 いわゆる美少女着ぐるみに限ったことではないですが、着ぐるみは視界も不自由でいろいろ制限されてると思われがちです(実際そうなんですが)。中の人は虐げられた存在としばしば受け取られています。ただし、中の人は外の人の顔が見えるのに、外の人は中の人の顔が見えないという非対称性を、グリーティングするときの一般人は忘れています。キャラクターの顔が見えてますからね。自分が中の人の顔が見られないということを忘れてしまっているのです。だからこそ、こちらは着ぐるみの中でニヤニヤして、操演ができるんですが。でも、稀に不思議な魅力に気がつく人もいるのですね。そんなときは「沼に! 落ちろ!」って思いながら、全力で可愛い仕草をしています。あっはっは。

*1:垢消し芸。リアルの方で忙しくなったら(本気で単位が回収できなくなった、など)定期的にアカウントを消す。これまでは1ヶ月以内に復帰することで、消したアカウントを取り戻していたが、今回誤って放置しすぎてしまったため、本当にアカウントが抹消されてしまった。

*2:着ぐるみクラスタの人物。大阪府在住の大学生。芸人であると言われているが、本人は否定している。

*3:笹松しいたけ。一時期職場にSNSでの活動がバレ、アカウントを停止していたが、入社わずか一年で退職し転職することで、アカウント及びブログも不死鳥のごとく蘇った。

*4:髏々宮カルタ。『妖狐×僕SS』の登場人物。僕の着ぐるみの娘。ぬこ面の素体を用いて、自分で作った。

*5:僕の「師匠」でもある。

*6:けろさんの企画。梅小路公園は京都の公園で、花見の時期は多くの行楽客で賑わう。

*7:そのような事例はいくつかある。警察が動いた例もある。