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結婚できないのかしないのか

 我々この趣味を持つものにとって結婚とは頭を悩ます問題である。まず世の中に女の子のお面を被って女の子の衣装を着て、それだけに飽き足らずまちなかに繰り出し、あるいは同胞の趣味を持つものに精子をぶっかけられて喜んでいるような人と結婚していいと言ってくれる女性が存在するかどうかである。余談ではあるが、ある調査によると、着ぐるみ界隈では約6割の人に結婚願望があるという報告がある。
 別に今日は着ぐるみ界隈の人が結婚できず、無情にも歳を重ねていくことに青息吐息したいわけではない。そもそも嘆いたところで、結婚できないに決まっているし、嘆く必要があるのかも分からない。
 
 先日、研究室時代の先輩と会う機会があったのだが、驚くべきごとに彼には全く女性関係の話題がないのだ。
 彼には、僕のように女の子の格好をして
女の子のふりをすることような趣味はない。善良な一般市民として日常を送る方だと僕は記憶していた。むしろ学生時代には、僕は彼のことを「一般人」「リア充」などと言って弄っていた。僕の認識では、およそ一般人とされる人は、20代後半ともなると、浮足立ち結婚を将来に見据えた交際相手がいることになっている。となると、その先輩には当然彼女がいて不思議ではない。百歩譲って彼女がいなくても、交際しようとしてうまく行かなかった人がいる、だとか、あるいは今度の週末に女性と食事に行くというような色めき立った話があるものだろうと勝手に想像していた。

 僕は彼に「今、彼女とかおんの?」と聞かれたが即答した。彼は"わかり手"なので、「着ぐるみ内射精とかしてたら、まあそうか」と言った。研究室の先輩という「一般人」から「着ぐるみ内射精」という言葉が聞けるとは感無量である。彼が研究室に入った頃には「ケモナー」という言葉さえ知らないほど純朴な男だった。僕のTwitterをフォローした結果、汚染されることになったのだろう。僕は、心の中でほんの少し詫びた。しかし、彼はさらにわかり手なので、「でもしゃれんきゅんが彼氏なんやろ?」と言った。流石である。

 僕は聞いた。「先輩はなんで着ぐるみ内射精とかしないのに、彼女いないんですか」と。彼の話を総合すると、要は独身貴族でいたいということなのだろう。旅行が趣味の男である。いつの間にか、一人で台湾にも旅行に行くようになったのだ。「同期に彼女いたり結婚の話とかは?」とも聞いたが、確かにそういう話はあるが、その話を聞いて焦りを感じることすらなかったというのだから、なかなかのものである。一応一般人よろしく合コンには3回行ったそうだが、「楽しくなかった」そうで、「めんどくさいから」という理由で連絡すら取らなかったらしいし、いよいよ本物である。

 「もしかして先輩もホモなんですか」とも聞いたが、特に否定はしなかった。ホモは着ぐるみの素質があるので、先輩も着ればいいと思う。