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後に引けない状態を作る(前編)

 以前の日記で「自分を窮地に立たせる」話をしたが、何も僕はあの記事を受験時代を懐かしむために書いたのではない。もちろん受験生時代に戻りたいという気持ちもあるし、あの頃は楽しかったというのは事実なのだが、合格か不合格かというプレッシャーと常に戦い続けてきたわけなのだから、そのストレスはある意味社会人を超えうる。前回の記事は今回の記事のマクラ、前座である。すなわち、僕はここに新たに自分を窮地に立たせる状況を作りたい。

 話は2ヶ月前にまで遡る。Twitterをご覧の皆様はすでにご存知かと思われるが、先日着ぐるみで、岡山さんより新たに初音ミクさんを迎えた。世界のアイドルたるミクさんをこんな僕がやることに、興奮と不安を隠せない状況であるが、造形師岡山さんに言われた。「ミクさんは科学の限界を超えてきたのに、くっしーさんは自分の限界を超えなくていいんですか」(※この部分には誇張があります)。そう言って差し出してきたのは、小倉唯が振付をしたあのダンスをトレースしたMMDの動画である。ははーん。

 僕はダンスというのは非常に苦手であると認識している。僕は、基本的に人の動作をよく観察し、それを真似するという能力に欠けているらしく、それで会社で目の前でやってもらったことが、自分でうまくできないなどして呆れられている。ダンスはそのような繊細な動作の集大成である。そんな僕がダンスなんかできるわけがなかろう。小倉唯の動画を見るが、かなり難しそうである。

 一蹴することはかんたんであるが、一方で僕は僕の血が騒ぐのに気がついた。ウリナリ!!で、ウッチャンが「YELLOW YELLOW HAPPY」のキーボードソロを必死で練習していたことを思い出した。思い返してみれば、僕はできないことはやらない人間だった。あのときのウッチャンのように何かを成し遂げたいという願望が湧いた。

 一方で事態の深刻さを全く理解していないのが、僕の師匠であるよっきーさんである。よっきーさんは、「面白そう! 3日後に動画撮るからくっしーくんよろしくね!」。よっきーさんにかかれば、リニア新幹線も半年くらいで東京から大阪まで作れそうである。僕は、よっきーさんのような超人ではないので、無理だ、そもそも動画をちゃんと見たのか、と問うと、「すいません、ちゃんと見てませんでした」。これでこそ僕の師匠である。僕が適当な人間であることは、全部師匠のせいにできるのである。

 一方で、当の提案者であり、面の造形神たる岡山さんは「そんなに難しく考えなくていいですよ、気軽に楽しくやれればいいなと思ってます」などと、新興宗教の勧誘か、あるいは覚醒剤を勧めるときのような台詞を爽やかに言ってくれる。僕は「やってやろうじゃないの」などと昨今の量産型ラノベの主人公のような台詞を口にし、果たしてダンスの練習に励むことになったのである。

後半に続く(キートン山田