コミケに出ます

 そんなコミケであったが、ついに僕が出展することになった。きっかけは、僕がいつものようにTwitterで徒然なるままに、着ぐるみに対する馬鹿な持論を展開していたところ。どんな持論だったかもはや覚えてはいないので、どうせくだらないことであったのだろう、と想像するに難くない。そうしたら、松さん*1が、「くっしーは、コミケに同人誌を出せ。着ぐるみに対する論文を書いて、きちんと文章として世に出すのだ」というような趣旨のことを言ってきた。

 なるほどである。着ぐるみに対してみんな思い思いの哲学を抱いているのだろうということは推測できるが、それをきちんと文章という形で表現する人が、界隈を見渡しても極めて少ないのである。
 それこそ小説という形で公表しているとん太さんくらいか。まあ、とん太さんは別格として、僕がしばしば界隈で「業の深さ」を指摘されるのは、着ぐるみに対する感情や哲学をありとあるゆる語彙を駆使して表現し、それらをTwitter、また時にはブログに書き殴っているからである。逆説的に言えば、別に僕は特別業が深いわけではなく、単に表現能力が秀でているだけなのだ。師匠たるよっきーさんにも「ちゃんと言語化できるのがすごい」と言われたことがある。伊達に京大は出ていなかったのかと思わされる瞬間でもある。自分を客体化して観察するのは、それなりの技能がいるものらしい。

 とは言うものの、どんな同人誌を書けばいいとのか皆目検討がつかない。松さんに聞いてみると「論文でも書けばいい」と言われた。
 しかし、論文というと(人文系の論文はよく知らないが)、Abstractから始まりIntroduction、Experimental、Results and Discussion、Conclusionからできてるあれである。最後にAcknowledgementをつけて炎上するアレである。何を題材にするかにもよるけども、論文と銘打つには多くの文献や過去の研究に当たり、根拠と客観的事実を並べ論理的に記述する必要がある。あるいは、フェチシズムを研究する心理学の大学の教授にアポイントを取ってみるとか。
 このあたりはすくみづ氏が出したフェチシズムの同人誌などが参考になるだろう。まだちゃんと読んてはいないが、ネットがなかった頃、人々はどうやって同志を見つけていたかといったことなどの調査がインタビューや対談などを通して明らかにされている。
 とは言うものの、僕は着ぐるみというものに対して、そこまで包括的かつ客観的に記述できる気がしない。あくまで自分の着ぐるみに対する思いや哲学を客観的に記述できるだけである。それでは論文とは言えないだろう。

 結局、論文という体裁ではなくエッセイという体裁を取ることにした。今のところ、考えている構成は、
1.美少女着ぐるみとは
2.僕と美少女着ぐるみとの関わり
3.なぜ僕は美少女着ぐるみは萌えるのか
4.美少女着ぐるみとグリーティング
5.美少女着ぐるみとエロ
6.対談
7.アンケート
である。初めに、着ぐるみOverviewとして簡単な説明から始まり、自分の着ぐるみの歴史・変遷を語り、着ぐるみに対する自分の思い描くさまざまなフェチを概念的にまとめる。そして、着ぐるみの陽の部分(グリーティング)と陰の部分(エロ)のフェチを具体的に記述していきたい。対談とアンケートは未定である。誰かと対談をしてほしいという声があったが、誰と対談するのがいいか考え中である。

 ともあれ、そんな内容の同人誌をコミケに出展することになってしまった。書類不備がなければ、競争の激しいジャンルでもないので、相当の確率で当選する可能性が高い。いずれどこかで自分の着ぐるみフェチを体系的にまとめてみたいと考えていたので、いい機会である。また当選したら報告します。

*1:市川松三郎さん。