髏々宮カルタ

 着ぐるみの話です。先日、とある人が徐ろに「僕、実は『○○』(自分の持ってる娘の出演作品)よう知らん」と暴露してきました。「なんで発注したんだよ!」というツッコミは避けられないでしょう。するとその人は、「見た目」と身も蓋もない返答をしていましたが、僕は非常に含蓄に富んだ考え方だと思いました。そもそも、若かりし頃、知りもしないエロゲの着ぐるみさんの抜いていた僕にとって、この回答は、僕を安心させるものだったと言ってもいいでしょう。人は見た目が9割、着ぐるみは見た目が99割と言います。そのキャラや作品そのものが好きなら、例えば二次創作の同人誌でアフターストーリーやアナザーストーリーを書くのがよいでしょう。一方で、ただ見た目が格好いい、可愛いことそのもの、それが着ぐるみを発注する動機付けになりえてもいいと思うのです。それだけビジュアル面に訴える趣味性癖だと思うからです。

 

 僕は、若干勘違いをしておりました。白馬の王子様が眼前に現れるべく、ある日突然電撃的なものが自分を襲い発注するべきキャラというのを決めると。ただ、待てど暮らせどそのようなキャラは現れません。好きだと思う作品があっても、いや別にその作品のこのキャラになりたいわけじゃないよな、みたいな逡巡を繰り返していました。しかし、世に目を向けてみましょう。楽器が叩きたいからという理由だけで発注したり、合わせのお誘いがあったからという理由で発注したり、チヤホヤされたいからとでもいうべき理由でミーハーなキャラを発注したりと、案外いろんな理由でみんな娘さんを迎えていました。見た目が可愛いから格好いいから。立派な発注理由ではないですか。

 

 大学三年の頃、僕は実は焦っていました。時代の趨勢を感じるに、早急に二人目の娘、できれば版権を迎えるべきだという風の息吹を感じて久しかったからです。元も子もない言い方をすれば、なんでもいいから版権を、みたいな考え方をしていたのは否定し得ないでしょう。そんな中、何となく TL を見ていますと、気になるアイコンの方がいます。れぐるすくん*1 でした。あ、このピンクの髪の女の子可愛くね? と。告白します。僕も見た目で決めました。ロマンチックな言い方をすれば、一目惚れです。ただ、電撃的なものではなく、どちらかと言うとクラスの女の子がなんか気になり、目で追ってしまい気付いたら好きになっている、みたいな感じです。程なくして、アニメと漫画をチェックし、「まさにぬこ面で作れそうやん!」と思いそのキャラを作ることにしました。それが『妖狐×僕SS*2 の髏々宮カルタちゃん*3 です。いや、だって、実際可愛すぎでしょ。こんな可愛い子に自分がなるんですよ。はぁ……。

www.youtube.com

 

 かくして大学四年の冬、うちのカルタちゃんは完成しました。加えて好都合だったのは、(これも物議を醸しそうですが)僕は被り*4 をやや気にするタイプ*5 とかいろいろある)) だったので、既にいる子はできるだけ避けたかったが、極端にマイナーな作品も避けたかったため、カルタちゃんはそんな絶妙な僕の希望にぴったりと合致する位置にあったことです。また、それまでよく動く椛*6 をよく操演していたため、それとは対照的におとなしく感情の表現が薄く*7 物静かで口数の少ない*8 カルタちゃんは、僕にとっては真逆の娘になるため、操演経験という点においていい勉強になったことは副産物的効果でした。が、椛の方が板についている感は否めないため、日々精進勉強しなければならないなあ、と痛感する次第です。
 「妖狐×僕SS」は、男性よりは女性に人気がある作品のため、イベントに行くと、女性の方が反応してくださいます。むしろ男ばかりの着ぐるみ界隈よりも一般人の女性の反応の方が芳しいことさえあります。一般に、着ぐるみに対する反応は、老若問わず、男性よりも女性のほうがいいことが多いです(())が、カルタちゃんの場合、女性の方に「髏々宮カルタちゃんですよね!?」とピンポイントで名前を呼んでもらえたり、「カルタちゃんや!! わー!! 一緒に写真撮って!!」って喜んでくれたりしれました。グリーティングのときですが、女子大生くらいの人に反応してもらえるのが、一番楽しくてきゅんきゅんします。

 

 ところで、写真を見せたら「妖狐×僕SSのカルタちゃんや」と一発で分かった職場の男の先輩はいったい……。

*1:@regulus_yo。

*2:いぬぼくシークレットサービスと読む。藤原ここあさんの漫画。全11巻。2012年にアニメ化された。原作ではアニメで触れられないショッキングな展開がある。

*3:登場人物の一人。主人公ではなく、主人公の住むマンションの住人の一人である。

*4:他人の持っているキャラクターと同じキャラの娘を所持すること。着ぐるみ界隈ではしばしばタブー視される。コスプレ(素コス)界隈ではあまりない風習。

*5:自分が先行になるの場合なら気にしない。

*6:よっきーさんの着ぐるみで、僕が代理内臓をさせてもらっている。口開きのため、活発に動くよう操演時に心がけている。

*7:感情が大きく変化するとがしゃどくろの姿に変化するため、敢えて感情を遠くに置いているという描写がある。

*8:着ぐるみの時点で喋れないけどな!