豆腐

 ここ一ヶ月ですっかりメンタルが豆腐になりました。ちなみに、今日の晩ごはんは麻婆豆腐です。丸美屋の麻婆豆腐あんまり美味しくない。
 原因を克明に記す趣味はないのですが、一言で言うと職場です。ていうか、職場以外にストレッサーなんかあるかよ。7 月あたりからなんか暗雲立ち込めてるよなあと思いつつ、ずるずるとやってきたのですが、不安定だったジェンガにとどめを刺したかのごとく、10 月に入ってから、崩れたのでした。うつ病の走りみたいな症状が出てきて、これは遅かれ早かれ精神科の病院にかかるべきなのでは、というようなところまで来ました。具体的には次のような具合です。もともと注意力はない方だったが、注意散漫になってはいけない場面で集中力が途切れる、簡単な計算のミスを連発する、指の皮が一夜にして全部剥ける、異様な虚脱感と疲労感(おかしいと思いエネルギーを取るべく砂糖をざりざりと食べるといった奇行に走る)、土日も抑うつ感、着ぐるみを着ているときも途切れない仕事への嫌悪感と非現実感、早朝覚醒、仲間との会話の反応が少し鈍いと言われる……などです。

 

 実際にうつ病にかかった人に相談すると、通院してもおかしくないレベルと言われました。流石にそれは針小棒大なと思いましたが、行動するなら早ければ早いほどいいと言われ、まずは一番穏健な方法であると思われる、会社の上の人に相談するというのを実行しました。効果はてきめんで、おそらく今まで受けた"カウンセリング"の中でも、一番心が楽になったのでした。

 

 とは言うものの、別に僕が"認知"してる事象そのものは何ら変化してないわけで、うんこだったのが、カレー味のうんこになったくらいのもので、そこまで明るい気持ちになれないのです。そこで、先日ドラッグストアで、漢方薬の加味帰脾湯というのを購入してみました。いわく、精神不安やうつ病に効果があるそうです。TL には非常に多くのうつ病患者がいて、まあ人によってありとあらゆる薬を服用しており、その薬によって確かに効き目があるのだろう、というのは分かりますので、薬が精神(まあ脳なんだろうけどね)に作用し、抗うつの効果があるということは信じられます。物は試しです。徐ろにその漢方薬を手にし、レジに持っていきました。

 食前または食間に 4 錠、一日三回服用するようです。職場でメンヘラアピールするわけにもいかないし、僕のうつ病希死念慮が湧くほど深刻なものでもなく、何より高いので、一日二回にすることにしました。そう、とにかく高いのです。なんと、7日分(84錠)で 2000 円もするのです。おいおい、精神ぶっ壊れたときの修繕費って高いんだな。これで、マジで精神科なんかに通おうもんなら、鬱の原因になった職場から貰った金を職場が原因でなった鬱の治療に使うという、究極のウロボロス自転車操業が始まるのです。生きるって、大変。そりゃ椛くんみたいに果てしない現実逃避の旅路にでも赴きますわ。でも、きっと高い薬だから効きます。高い薬は効くのです(大事なことなので 2 回言った)。以前研究室で酒を飲んだときに、准教授が「このワインも一つやな」と言ったにも関わらず、誰かがそのワインの値段を言うと、急に手のひらを返して「いやー、やっぱ高いワインは美味いね」と言い出したことを思い出しました。現金な人です。そう、高い酒はうまいのです。だから、高い薬も効きます。


 果たして、僕の場合はなんと飲んだ翌日からなんとなく効果が出てる感じです。感覚としては、普通にしてるときはなんともないが、ネガティブなことを思いついたり、ネガティブな出来事に直面しても、ネガティブ思考回路が通行止めになってる感じです。これはありがたい。それまで、考えても結論が出るわけでもないことを延々とこねくり回して、勝手に一人で塞ぎ込むみたいなことがよくありましたが、薬を飲んでから、そういうことが減った気がします。別に能天気になるとか、鈍感になるとかそんな感じじゃないです。ネガティブ思考回路が通行止めになると、ポジティブなことを思いつく余裕もできるのですね。「見られてる」じゃなくて「見てくれてる」とか。まあ、別に、やはり事象そのものは変化してないので、人生バラ色ではありませんが。お先真っ暗だったのが、まあ 3 メートル先くらいまでは見通せるようになったかな、とかそんな具合です。58 円(特売)のカリー屋レトルトカレー味のうんこが、203 円の銀座カレー味のうんこになった感じです。結局、会社なんてうんこですからね。

 

 とにかくプラシーボ効果ってすごいですね。